ニュースリリース
焼き入れ後の高硬度ワークを、高速、高精度に仕上げ加工する
「ハードブローチ加工システム」を開発
2004年10月25日
株式会社不二越
株式会社不二越
ナチ不二越は、焼き入れ後の高硬度ワーク(50〜62HRC)を、高速、高精度に仕上げ加工する「ハードブローチ加工システム」を開発し、市場投入した。
高速対応・高剛性構造の「ハードブローチ盤」(工作機械)と、高精度、長寿命の「ハードブローチ」(精密工具)を組み合わせ、加工システムとしてカスタマーに提供する。そして、焼き入れ時に生じるワークの歪みを高能率に除去するとともに、高精度な仕上げ面を実現する。
また、これまで主流であった研削仕上げ加工を代替し、イニシャル・ランニングコストともに、大幅に低減することが可能となる。
今後、熱処理をともなう多様な高精度部品の加工分野において、ハードブローチ加工システムの市場拡大にとり組む。
1.開発の背景・ねらい
- 高速、高精度、ドライ加工技術の蓄積
- 当社は、工具と工作機械事業を併せもつシナジーを活かし、多彩な加工技術をシステムとして提供している。また、切削油が不要なドライ加工にいち早くとり組み、ドライ加工工具・工作機械のシリーズ化を進めてきた。
- 複雑形状のワークを高精度、高能率に加工するブローチ加工(焼き入れ前)についても、高速・MQL(セミドライ)加工を実用化しており、工具、工作機械とも、世界市場でトップシェアのポジションを確立している。
- 当社の得意とするブローチ加工の市場拡大をすすめる中で、より高精度、高能率が求められる仕上げ加工分野での展開をめざし、ハード加工技術の開発にとり組んできた。
- 自動車業界における部品ニーズの高度化
- 近年、自動車業界では、自動車の快適性の追求(騒音、振動対策など)や、燃費向上などをねらいに、使用部品に対する高精度・高強度化のニーズが一段と高まっている。
- また、加工コストの低減についても、切削油の削減、工具の長寿命化、加工能率の向上等に対する要求が、より一層強まっている。
- ハードブローチ加工システムの開発、市場投入
- 今般、「ハードブローチ加工システム」の開発、市場投入により、トランスミッションギヤのインボリュートスプライン穴や、CVT可動プーリのボール溝など、これまで切削加工では困難であった焼き入れ後の複雑形状部の仕上げ工程に対して、高精度、高能率、低コストの加工システムを提供していく。
2.ハードブローチ加工の特長
- 「ハードブローチ盤」 従来マシンに比べ、大幅な高速化、高剛性を実現
- NC制御サーボモータの採用により、常速60m/minの高速切削を可能とし、サイクルタイムを大幅に短縮した。実加工時間はわずか1秒であり、研削加工に比べ格段の加工能率向上を実現した。
- 機械剛性、ブローチ保持剛性を向上し、切削加工時の振動を低減することにより、工具寿命、加工精度が大幅に向上した。
- MQL(セミドライ)加工の採用により、クーラント処理が不要で、切り屑処理を容易にした。
- ワーク移動タイプにより、作業位置を低くし、作業操作性を改善。
- 「ハードブローチ」コーティング超硬ブローチで、高精度、長寿命を実現
- 刃部本体は、住友電工ハードメタル(株)と協同開発した超硬合金を採用し、チッピング等の異常摩耗を抑え、長寿命化を実現。
- コーティングは、耐摩耗性、耐剥離性を向上した新膜コーティング膜を採用し、高速加工でも安定した加工精度、長寿命を可能にした。
- 再研削することにより、繰り返し使用することができる(再コーティングは不要)。
- 専用設計により、高速切削における切削荷重や振動を低減した。
3.今後のねらいの市場・売上規模
- 焼き入れ後に高精度が要求される自動車部品、各種機械部品への適用拡大をすすめる。 あわせて、加工能率向上やコスト低減をねらいに、研削加工からの切り換えをすすめるなど、市場・用途の拡大にとり組む。
- 今般開発したハード加工技術を、ブローチ以外の加工方法にも展開していく。
- ハード加工システムとしての売上規模は、2005年度3億円、2007年度10億円を目指す。
以上
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