ニュースリリース
不二越と東北大学が特殊鋼の製造方式を革新
世界最高の硬さをもつ極細線を協同開発
2007年1月31日
株式会社不二越
株式会社不二越
※この技術は諸般の事情により商品開発を中止しております。(2012年6月追記)
不二越は、東北大学工学部石田清仁教授と協同で、ステンレス鋼をはじめとした特殊鋼の新しい製造方式を開発した。これにより、世界最高の硬さや延性をもつ極細線の製造を可能にした。
東北大学が開発した炭化物分散浸炭理論(CDC法)と、不二越が独自展開する高硬度極細線(ミクロンハード)製造技術を融合して、特殊鋼の革新的な製造プロセスを確立した。
今般、その商品化の第一弾として、従来の製法では実現できなかった高硬度、高延性のステンレス鋼極細線を開発。機械・構造部品、電機・電子部品、医療用部品など幅広い分野において、「CDCプロセス・ミクロンハード」の用途開拓をすすめる。なお、本開発はNEDOの助成により行なった。
1.CDCプロセス・ミクロンハードの技術シーズ
今般、協同開発したCDCプロセス・ミクロンハードは、東北大学の石田教授らが長年にわたって研究してきたCDC法(Carbide Dispersion Carburizing:炭化物分散浸炭) と、不二越がもつ連続真空浸炭、高硬度極細線加工などの材料・熱処理技術を融合して確立した。
(2002年から協同研究を展開)
- CDC法〜炭化物分散浸炭〜(東北大学)
硬さの要件である微細な炭化物を、材料中に均一に分散させるプロセス。材料の表層に炭素を拡散させて表面硬さを高める従来方式の浸炭法とは異なり、高硬度の微細な炭化物を大量に分散させ、極細線の中心部まで浸炭量・硬さを自在に制御する技術。 - 連続真空浸炭技術(不二越)
自動車部品等の真空浸炭技術を応用し、CDCプロセスの特長を最大限に発揮する連続真空浸炭技術・装置を開発。 - 高硬度極細線製造技術(不二越)
社内のドリル材等の製造で培った粉末冶金、細線加工(伸線加工)、連続焼き入れ・焼き戻し技術を活かして、ハイス(高速度工具鋼)および超硬合金の高硬度極細線(ミクロンハード)を開発。最小線径50μm(0.05mm)の極細線で高強度、高靱性を有することから、OA機器や極細ピン・パンチ、放電加工電極材等に採用されている。
2.CDCプロセス・ミクロンハードの特長とねらいの市場
CDCプロセス・ミクロンハードは、幅広い材質に適用が可能で、線径50〜500μm(0.05〜0.5mm)の極細線に対して連続的な浸炭処理が可能なことから、これまで困難だった高炭素ステンレス鋼や高合金ハイスなど難加工材の極細線化が可能になる。
耐食・耐摩耗性、高延性、微細・高精度化が要求される部品や材料向けに、新しい機能をもったCDCプロセス・ミクロンハードを提供していく。
- 高炭素・高硬度ステンレス極細線
- 炭素含有量は最大4%、世界最高硬さ(HV1000)を実現
- ねらいの市場:耐食・耐摩耗電子部品
- 非磁性ステンレス極細線
- 抗張力2,000MPaで伸び率10%(従来の5倍)を実現
- ねらいの市場:カテーテルガイドワイヤをはじめとした医療用部品など
- 形状記憶合金
- ニチノール(Ni-Ti合金、記憶合金)への耐食性・剛性付加
- ねらいの市場:携帯電話アンテナなど
3.売上目標
- 2008年度:50億円/年
以上
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