近年、小型搬送装置や位置決めテーブルにおいては、高速化・重荷重化がすすむにつれて、通常のアンギュラ玉軸受では、転がり寿命や剛性が不足する場合が多くなっています。
今回、不二越はサイズは標準タイプと同じでありながら負荷容量とアキシアル限界荷重を高めた小型ボールねじサポート用軸受「XYシリーズ」を開発しました。図1に示すように、定格荷重を向上、標準アンギュラ玉軸受(接触角30°)に対して、1.5倍の転がり寿命を実現したほか、図2に示すように、鋼球径の大径化とそれに合せた内部設計の最適化をはかり、標準アンギュラ玉軸受に比べて、アキシアル限界荷重を大幅に向上しました。
剛性と回転トルクについては、内部設計と送り用途に合わせた最適な予圧を設定しており、アキシアルの剛性を高めつつ、トルクの増大を最低限に抑えることができます。また、標準アンギュラ玉軸受に対しても低いトルク性能を実現しています。
今後も、更なる技術開発を進め、工作機械・産業機械などものづくりの発展に貢献するベアリングの商品化にとり組んでいきます。
アキシアル限界荷重とは
ボールねじサポート用軸受のように大きな荷重を受ける軸受は、図3のように玉と軌道との接触楕円が過大になり、軌道面からはみ出すケースがある。このとき、玉がはみ出さない限界の荷重をアキシアル限界荷重という。
標準アンギュラ玉軸受と同一寸法
- 標準アンギュラ玉軸受(接触角30°)
70シリーズ、72シリーズと同一寸法 - 周辺部品をそのままに置き換えが可能
高負荷容量、高アキシアル限界荷重
- 大径ボールの採用により高負荷容量を実現
- 内部設計と保持器形状の最適化をはかり
高アキシアル限界荷重を達成
高強度樹脂生計保持器を採用
- 高強度タイプ樹脂保持器の採用により
耐久性を向上 - 高精度・高剛性の確保と低騒音運転を実現
予圧調整済み
- 組付け時の内部すきまを無くすための荷重
調整作業は不要
図1 基本動定格荷重・アキシアル限界荷重(7001)
図2 大径ボールによる高負荷容量を実現
図3 アキシアル限界荷重